120年前に書かれたイタリアの海賊小説。
シリーズ物で、イタリア版原書の単行本は全11巻。
しかし、エミリオ・サルガリって誰?
このシリーズは、本国イタリアでは大変人気のあるアドベンチャー・クラシックスで、映画、TVドラマに何度もなっている。アニメまである。6ヶ国語に翻訳されているらしい。でも、英語訳が無いので、英語圏ではほとんど知られていないそうだ。
いや、これじゃわからないはずだ。
ようやっと英語訳が出始めたので、興味津々で購入してみた。
著者のエミリオ・サルガリ(1863生−1911没)。
インターネットの英語サイトに、プロフィールを載せている人がいたので大助かりだ。
サルガ鰍ヘイタリア人で、ヴェローナの裕福な商人の家に生まれる。夢は船長になって世界を探検 する事であり、海軍大学に入学するが成績が振るわず挫折。やがて、その夢を小説を書くことで実現する。
しかし、作品は大評判になったが商才があまり無かったようで、金銭的に苦労の多い人だったらしい。さらに、奥さんが精神に異常を来たして治療費で借金を重ねる。
ついに疲れ果てたサルガリは、日本の武士を真似てハラキリによる自殺をして果てる。遺書が2通。1通は4人の子供宛。もう1通は、恥を偲んで出版社に自分の葬式の費用を無心する内容だったとの事。
生涯に、綿密なリサーチに基づく異国情緒たっぷりな冒険小説を100冊以上、その他の著作も含めると200冊を優に超える著作を残した人だそうだ。イギリスのハガード、フランスのヴェルヌと並び、イタリアンSF小説のパイオニア的存在の作家でもあるそうだ。
さて、「SANDOKAN:The Tigers of Mompracem」。
むちゃくちゃ波乱万丈な、激しい恋の話である。
お話は、1849年12月20日から始まる。
舞台は東南アジアのボルネオ島とその近海。
当時の東南アジアは、多民族の小国が入り乱れて領土争いが絶えず、そこへ付け込んだ大英帝国、オランダなどが戦争の仲裁にかこつけてまんまと土地の支配権を握っていく。
主人公サンドカンはボルネオの小国の王子。領土争いで敵対する隣国が英国と手を組み、刺客を放ってサンドカンの一家を虐殺する。その時、サンドカン20歳。
それから約10年、生き残ったサンドカンは、隣国の王と英国人に復讐を近い、モンプラチェム島(架空)を根城に、「マレーシアの虎」と異名をとる伝説の海賊になって恐れられる存在となる。
1849年12月、復讐のためだけに生きてきたサンドカンは、一人の英国人女性の虜になる。
その人の名は、マリアンナ・グィロンク。英国領であるラブアン島に住む英国貴族グィロンク卿の姪で、現地人たちに「ラブアン島の真珠」と呼ばれて敬愛されている美しい女性だった。
そして、マリアンナもサンドカンと深い恋に落ちる。
サンドカンは、英国海軍、セポイ軍などの手ごわい敵を相手に、ラブアン島からマリアンナを連れ出すために決死の戦いを挑む。
このお話の頃、ラブアン島を牛耳っていたのは、サラワクの初代英国人首長であるジェームズ・ブルック(実在)。マリアンナの伯父グィロンク卿は、ラブアン島に隠棲する前は勇猛果敢な船乗りであり、個人所有の武装船を指揮してブルックと共にマレーシアの海賊討伐を行っていたという設定になっている。
また、サンドカンには、ヤネツ・デ・ゴメラというポルトガル人のサイドキックがいる。
激情に走りやすい猪突猛進型のサンドカンと、慎重派でユーモア感覚に溢れた頼りになるヤネツ。絶妙のコンビだ。兄弟のような固い絆で結ばれていて、片方が危機に陥ると、もう一人が必ず救出にやって来る。
ヤネツが、なぜサンドカンと腕を組むようになったのか。この本に説明が無かったのが残念だった。